新潮文庫 平成元年
〈恰も一身にして二生を経るが如く一人にして
両身あるが如し〉に着想を得て、平野謙、中野
重治、堀辰雄の三氏を文章技術の観点から評し
てゆく。果たして、作家その人は、そこまで考
えて書いていたのか、もっと、感覚的な部分に
呼応して書き進められていったのではないか、
とは思う。が、ここで、はっきりとしてくるの
は、その感覚と云うのは、論理的に云っても、
結果的に正しかったという事が重要なのでは
ないか。文学的野生の勘、そういったものが
正確に働いていたと、こういうことが立証さ
れたのではないか。そう云った意味で、この
本は、重要な使命や意義を帯びて来るのだ。
江藤氏は、優れた批評家であったが、1999
年、66歳で亡くなった。RIIP。
(読了日 5・8(金)15:10)
(文人に憧れる
鶴さん)